心・詞の二つは鳥の左右のつばさの如く


心と詞 伝藤原定家著『毎月抄』より

心と詞とを兼ねたらむを良き歌と申すべし。心・詞の二つは鳥の左右のつばさの如くなるべきにこそとぞ思ふ給へ侍りける。ただし、心・詞の二つを共に兼ねたらむはいふに及ばず、心の欠けたらむよりは詞のつたなきにこそ侍らめ。

【訳】心と詞とを兼ね備えているようなのを良い歌と申すべきでしょう。心と詞の二つは、鳥の左右の翼のような関係のはずだと存じます。ただ、心・詞の二つを兼ねているのが理想であることは言うまでもありませんが、心が欠けて詞の巧みな歌よりは、心があって詞のつたない歌の方がましでしょう。

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